新しい可能性
可能性、という言葉が、いまのわたしには新鮮な感覚です。
人に対して、憧れを持って使っていたこの言葉が、
「あなたにもあるよ」と言ってもらえて、でも、わたしには無縁な気がしていて、
でも、ようやく最近、あるのかもしれない、と受け止められるようになってきました。
どんなことでも、頑張れば出来るはずと思ってきたけれど、
どんなに頑張っても出来ないこともある、と気づかされて、
悲しんで、あがいて、落ち込んで、閉じこもって・・・
もうわたしには、どんな可能性も残されていないと思い込んでしまっていました。
でも、可能性の種類は、たったひとつではないんですよね。
あちらがダメでも、こちらには道が開けているかもしれない・・・
けれど、たったひとつその方向だけ、と思い詰めていて、
顔をあげて、周りを見渡そうという余裕がありませんでした。
信頼するひとたちが「大丈夫、可能性はあるよ」と、
なんども否定するわたしに、それでも言い続けてくれたおかげで、
可能性が、未来が、わたしの手に戻ってきた気がします。
そして、無縁にしていたのは、わたし自身だったと今はわかります。
切ないことですが、わたしはたったひとつその方向だけを、
いつまでも見つめていたかったのだと、今ならわかります。
もし、叶わないという事実を受け入れてしまったら、
もうそのことばかりを考えて、生きていくわけにはいかないから。
どんなに好きで追いかけても、
追いかけるほどに、離れて行ってしまう恋人を追いかけているうちに、
いつしか追いかけることが、目的のようになってしまいがちだけれど、
恋人と仲良くいつまでも暮らすことこそ、本当は願っていたはずです。
この喪失感を、離れていく恋人に例えるなら、
もう、彼は戻らないのです。
運よく、いつか彼と未来で、また巡り会うことがあったとしても、
とりあえず今は、戻らないのです。
きっと、彼は「君といると、窮屈なんだ」とか言うのかもしれません。
たしかに、自分だけを見つめられたら、かなり重いですよね。
・・・こうやって振り返ることができるようになれば、しめたもの(笑)
新しい可能性について考えられるのは、案外、素敵なことかもしれません。