滂沱の涙
今年も夏が来て、この日が訪れました。
いつもでしたら、晴れ渡る空を仰いで、
あの日もきっとこんな晴天だったのだろう、と思いをはせるものですが、
今年は、滂沱の涙のように、激しく雨が降りました。
この時期になると大戦の特集番組が放送されますので、
テレビなどで、いろいろな方のインタビューを聞かせていただく機会があります。
私がいま、こうして平和な生活を送ることができるのも、
命がけで戦ってくださった方々のおかげだと、本当にありがたく思います。
かつて兵士だった方の悲惨な当時の状況を聞くたびに、
何度聞いても、戦地での様子を話してくれなかった祖父の顔が浮かびます。
その方の経験は、もちろんその方だけの経験ですけれど、
その方の苦痛の表情のなかに、同じ時代を生きた祖父のことが思い出されるのです。
自分でさえ、思い出したくもない戦地での出来事を、
ましてや、幼い孫に聞かせたくもなかったのだろうなと年を追うごとに感じます。
祖父母の戦争体験を聞いてくること。
そんな宿題を安易に出す教師もきっと、戦争を知らない世代だったからでしょうね。
ほんとうにつらい体験というものをしたなら、
自分のなかで折り合いがつくまでは、きっと誰にも話せないものでしょう。
今日は平和を祈念する日ですけれど、
私は毎年、どうしても天国にいるはずの祖父のことを想ってしまいます。