スッキリ!
「スッキリしてますねっ!」
いきなり、そう言われたんです、笑顔で。
いや、相手はマスクしてましたから表情まではわかりませんが、
パンのはなしが出たので、ふと思い出しました。
パン好きなので、近所のパン屋さんはチェックしています。
でも、徒歩圏内から、sanaが無くなってしまったショックで、
あてもなくさまようか、おとなしくおにぎりでも作るか、
そんな味気ないランチタイムに飽き飽きしていたのでした。
ちょっと用事があって、いつもは行かない方面を歩いていたとき、
びびびっ、とレーダーが反応しました。
というか、美味しそうなパンの香りがしてきたわけです(笑)
ガラガラと硝子戸を開けると、チャーミングな女性が迎えてくれました。
おそらく、おひとりですべてなさっているんじゃないかと思うんです。
いくつもの種類のパンやフィナンシェなどを焼きつつ、
作業中であっても、かならず手を止めて、いつも笑顔で迎えてくれます。
これって、できそうで、なかなかできることではありません。
で、なんどか伺っていて、顔も覚えてもらったころ、
「いらっしゃいませ」もそこそこに言われたのが、冒頭の言葉。
でも、実は、そのとき、わたしはとても気持ちがささくれていて、
20分ちかい道のりを、泣きそうな気持ちで歩いていたのでした。
「へ?」と驚いた顔をしていたんでしょうね、わたし。
つづいて「花粉症じゃないんですね!」と言われたので、
マスクもせずに歩いてきたわたしを見て、
思わず出た言葉だったのでしょう。
でもね、とても嬉しかったんです。
事情を知らないかたには、わたしが元気そうに見えるなら、
不思議と、もう悲しみにくれている場合じゃないな、と思えてきたんです。
あの日のわたしには、パワフルな「ごほうび」でした。
先日のようやく晴れた日、お散歩がてらパンを買いに行きましたら、
もうマスクを外して、彼女もスッキリしていました♪
同世代の女性が頑張っている姿にも、とても励まされるし、
なによりパンが美味しいから、また明日も通ってしまいそうです。