ETERNAL-FLAME

~ 寝ても醒めても キャンドルのことばかり ~

雷を聴く午後

 

暦のうえでは、大暑。

字面からして、暑そうな日に似つかわしく、

夏の定番となりつつある、窓の外を白く煙らせるほどの猛烈な雨が降りだしました。

そして、容赦ないほどの雷鳴と稲光・・・クワバラ、クワバラ。

 

鼓膜だけでなく、全身を震わせるような雷鳴は、

子供のころは珍しいこともあって苦手でしたが、近ごろでは日常茶飯事。

こちらも慣れたもので、急いで洗濯物さえ取り込んでしまえば、

窓を開け放して、雷雨に見入ってしまうこともあるくらいです(笑)

 

f:id:ETERNAL-FLAME:20130717034304j:plain 

 

 雷鳴って、自然の音のなかで、いちばん大きい音ではないでしょうか。

大きい音といえば、飛行機、トラック、ライブハウス、打上げ花火・・・

でも、どれも人の手によって作りだされる音ですよね。

そう考えると、雷鳴ほど大きく響きわたる自然の音って、なかなか思いつきません。

 

 

そうそう、自然の作りだす大きな音、といえば、こんな音もありました。

以前、北海道のチミケップ湖という秘境を、真冬に訪れたことがあります。

テレビもパソコンも無い環境で、延々と暖炉の薪の燃えるのをただ見つめる、という、

本当の意味で、何もしない休日を過ごす機会に恵まれたのです。

 

つい何かしたくなった私たちは、かねて用意の竿で、ワカサギ釣りをすることに。

慣れないスノーシューでノソノソと、分厚く凍ったチミケップ湖へ下りて、

待つこと数十分・・・大きな湖ですから、私たちの下を好んで泳ぐはずもなく、

かじかむ指先、遮るもののない湖のうえを、雪交じりの風が吹き抜けていきます。

 

と、そこへ、ド、ドドーンッ!!

まるで雷鳴のような音が響きわたり、足元がグラグラと揺れました。

そう、気温が下がるのに合わせて氷が膨張し、どこかでぶつかりあっているのでしょう。

この世のものとは思えないほどの轟音は、思わず飛び上ってしまうほど。

 

見回すと、人ばかりでなく、動物の気配すらない、まったくの氷の世界

頼りない非力な自分のことを思うにつけ、例えようの無い不安にかられ、

一刻も早く、暖かなホテルへ帰りたくなるのですが、

そういう時に限って、気まぐれな小魚たちが回遊してくるもので(笑)

 

 

ビルに囲まれた日常に閉じ込もっていると、反射的に自然を希求するものですが、

まったくの大自然に圧倒されるとき、ちっぽけな人間という存在に愕然とします。

そして、大自然の作りだす轟音に包まれるとき、

私は、やはり粛然とした気持ちになり、神の怒りに触れるような心持ちになってしまうのです。

 

ここ数年の夏の豪雨は、

上昇した熱気によって発生した積乱雲の仕業、といわれています。

人間が、深く考えることもなく、エネルギーを無駄遣いしていることに対して、

大いなる自然からの「頭を冷やせ」というメッセージのような気がしてなりません。

 

そして、その大いなる自然による自浄作用なのですから、

感謝こそすれ、

私の洗濯物を時おり濡らすことくらいで、怒ったりしては申し訳ないな、と、

反省しつつ、今日も大急ぎで帰宅したのでした(笑)