ETERNAL-FLAME

~ 寝ても醒めても キャンドルのことばかり ~

タイムマシンに乗って

 

「もし無人島へ行くなら、何を持っていきますか?」

というような質問、誰でも一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

 

私も以前は、真剣に(ウィットに富んだ答えを)探したりしたものです。

けれど、単純な心理テスト(あるいは会話のきっかけ)とわかっていても、

もう微笑ましい答えを考えられなくなってしまいました。

 

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もしそのことを知ってしまったなら、

もう二度と、それを知らなかった頃へは戻れない、という強烈な出逢いがあるものです。

アメリカの進化生物学者であるジャレド・ダイアモンド氏の著書との出逢いも、

私の考え方に大きな変化を与えてくれました。

私は部屋に居ながらにして、タイムマシンに乗って1万3千年前へと遡り、

時空を一気に駆けぬけるような興奮を味わいました。

そして今、長い旅から戻ったような疲労感をも感じています(笑)

 

『銃・病原菌・鉄』(ピューリッツァー賞

  人類の祖先がアフリカ大陸で誕生したという事実にもかかわらず、

  世界を席巻したのは、なぜヨーロッパ人なのか。

『文明崩壊』

  中米のマヤ文明や、モアイ像で有名なイースター島など、

  かつて繁栄したにもかかわらず、なぜ文明は崩壊したのか。

 

大まかにいうと、そのような疑問に対しての見解が、

彼の深い洞察に基づいて展開され、楽しく読むことができます。

 

 

私はいま、初めて、といっても過言ではないほど、

人類の歴史と世界の成立ちに関する深い知識を得たことによって、

世界情勢を俯瞰で見ること、そして考える必要性を感じています。

 

もともとは、日本史や世界史には興味が持てませんでした。

時代のそこここに、魅力的なヒーロー・ヒロインは登場するようでいて、

史実のメインが、統治者の変更(に伴う悲劇)にスポットが当たっていることを、

うっすらと子供心にも気付いていたせいかもしれません。

そこにはいつだって、侵略と征服の歴史ばかりが書き連ねられ、

多くの人が、他の多くの人の命や暮らしを奪ってきたことの証しに感じられていました。

けれど、どうして人類は、侵略ばかり繰り返してきたのでしょうか。

 

 

以前の私にとって、冒頭の「もし無人島に行くなら」という質問の趣旨は、

「しばらくリゾート気分で離島へ行くなら」的な感覚でした。

けれど、長い歴史で繰り返されてきた、無人島を目指す理由とは、

冒険というより、今いる場所で生きていけないから、という究極の選択肢であり、

極端に言うなら、増えすぎた一族を養うための土地が足りないという状況下。

そして、新しい環境を探さざるを得ない状況に立たされた人類が彷徨い続けた結果、

世界中のほぼすべての大陸や島に、端から端まで人類が行き渡ったのかもしれません。

 

歩く速度で拡大してきた人類の歴史の過程においては、

もし見知らぬ先住民に出くわせば、その場で逃げられなければ、生きるか死ぬかの戦いです。

そして、文明の発達に伴い、

新しい土地で出会う動物や植物をも根絶やしにする勢いで、急速に広がりました。

そのようにして、人が人や動植物を侵略し、征服しながら突き進んできたのが、

現在の世界地図に書かれた国境線と言ってしまっては、少し乱暴でしょうか。

 

それぞれの土地には、そこで養うことのできる生命のバランスというものがあり、

環境にかけすぎた負荷や、その土地の特性などによって、

それぞれに崩壊した実例や、発展した成功例をいくつも知ることができます。

しかし、人類が増え続け、もう地球上のどこへも行けない、という現段階にあって、

私は、どのような希望を持てばいいのでしょうか。

 

 

日々の暮らしのなかでは、考える必要のないことかもしれません。

「それどころでない」と言い切って、雑事に専念することも可能です。

でも、視点をどこに定めて自分の周りを見回すか、ということは、

それぞれの暮らしにおいてこそ、とても大切なことではないでしょうか。

 

穏やかな日々の暮らしのなかにも、争いの種が入り込むことがあるように、

残念ながら、争いを避けつづけるのは困難です。

ですが、歴史のなかで絶えず繰り返された争いの大半は、

自分や愛する人を守るために、止むを得ず武器を持ってきたはずです。

自分の愛する人、愛する我が子に、武器を持たせない社会を作るには、

今が最後のチャンスなのかもしれません。

 

まもなく、暑い夏がやってきます。

嫌でも「温暖化」、ひいては「環境破壊」について考えさせられます。

どのような世界を作っていきたいか、という視点を持つならば、

暮らし方を変えていかなければ、とタイムマシンを降りながら強く感じています。